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コロナ禍が学生に与えた影響
世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症。以前に比べれば、感染状況は落ち着きつつありますが、この約3年間、大学及び学生の生活に甚大な影響を与えました。
我々の生活様式は様変わりし、学校現場や職場など、様々な場所でオンライン化が進みました。学生にとっては、通学に加えて、サークル・部活・留学などの課外活動が大きく制限されるなど、コロナ禍前の学園生活とは大きく変化しました。
満足度向上には「居場所」の存在がカギを握る!?
マインドシェアでは、学内での「リアルの場」での学生間の交流が減ったことで、学生の「居場所」が奪われ、「孤独・孤立」を抱える学生が多いのではないか?と考えました。
そこで、「望まない孤独」が社会問題となっている今日、「学生の居場所を確保し、繋がりの場づくりが重要ではないか?」との仮説に至り、SSSにおいて「学生の居場所」に関する設問を設け、以下の6つの場所を提示し、居場所の有無を聴取しました。
「6つの場所」を居場所と感じるか?
- 現在住んでいる場所(自宅・実家、学生寮など)
- 大学
- 職場(アルバイト先・インターン先)
- 上記以外の場所(自宅や大学の周辺など)
- ネット上の空間(実名を出している)
- ネット上の空間(実名を出していない)
回答形式は、居場所の有無を「感じる」~「感じない」の5つの選択肢から1つ選ぶ形式で、「居場所があると感じる・やや感じる」「どちらともいえない」「居場所があるとやや感じない・感じない」に分け、居場所と在学生満足度(通う大学への「総合的な満足度」)の関係を分析しました。また、在学生満足度だけでなく、別途聴取した35項目にわたる個別満足度との関係も明らかになりました。
35項目の内訳
- 大学設備に関する項目(「インターネット環境」「食堂・カフェテリア」など7項目)
- 学生サポートに関する項目(「先輩・後輩との交流」「クラブやサークル、同好会の充実」など14項目)
- 教育サポートに項目(「グローバルな学び」「少人数教育の体制」など14項目)
居場所が「在学生満足度」に与える影響はどの程度なのか、そしてコロナ禍によって奪われたと考えた学生の「居場所」の存在は、満足度とどの程度関連しているのか、SSSを通じてみえてきました。
大学に「居場所」がある学生ほど、在学生満足度が高い結果に!
結果としては、当初の仮説通り、大学に居場所があると感じる学生ほど、満足度が高い傾向が明らかになりました。では、そもそも大学に居場所があると感じる学生はどの程度いるのでしょうか?
「居場所があると感じる・やや感じる」を合わせると、57%。さらに「感じる」に限定すると24%、4人に1人にとどまりました。人それぞれかもしれませんが、「思ったより低い」と感じる方が多いのではないでしょうか?「大学を居場所だと感じない」学生に寄り添い、大学として学生に「居場所を感じさせられる環境整備」が求められているといえるでしょう。
では、大学に居場所があると感じる学生とない学生でどの程度、満足度に差がみられるでしょうか?
大学に居場所があると感じる学生の満足度(満足・やや満足の合計)が87%に対し、感じない学生の満足度(不満・やや不満)は49%にとどまっています。居場所と在学生満足度には一定の関係がみられることが明白です。
聴取項目によって違いもみられる!?
「大学に居場所がある学生ほど、満足度が高い」という傾向は説明した通りですが、個別項目別にみていきましょう。
例えば、「先輩・後輩との交流」「授業のレベルが自分に合っているか」「教員との距離の近さ」「クラブやサークル、同好会の充実」「講義室や実習室での対面講義」の5項目は、大学に「居場所がある学生」と「ない学生」で満足度の差が特に大きくなりました。
また、個別項目の満足度だけでなく、「入学前の大学への期待度」や「学生生活で重視していること」においても、大学に「居場所がある学生」ほど、満足度が高い傾向がみられました。
居場所を感じる学生の特徴とは?
では、どのような学生が居場所を感じる傾向がみられるのでしょうか?
マインドシェアでは、様々な切り口で分析をしていますが、ここでは1つ紹介します。
「大学生活で注力した」という視点です。
一言で「注力」といっても、学生にとって学生生活においては学内外含め様々な機会があります。SSSでは下記11項目の中から、「学生生活で取り組んだ(注力した)こと」をすべて選んでもらいました。
学生生活で取り組んだ(注力したこと)は?
- 大学での勉強・研究
- 大学以外での勉強・研究
- アルバイト
- ボランティア
- インターンシップ
- 留学
- 就職に向けた準備
- 趣味・遊び
- 恋愛
- 部活・サークル・クラブ活動
- その他
大学に居場所がある学生は、学内外を問わず多くの活動に注力していることがわかりました。
特に、「部活・サークル・クラブ活動」では顕著に差が生じています。
大学での「居場所づくり」をいまこそ
大学での居場所づくりの重要性が明らかになったかと思います。
居場所づくりは「ソフト」「ハード」両面での取り組みが必要になります。そもそも在学生が「どのような場に居場所を感じるのか?」「どのような悩みを抱えているのか?」という仮説を持ったうえで、多くの学生を実際に観察し、調査をすることで、実態が明らかになります。居場所づくりが在学生満足度向上に寄与し、大学の価値向上にも繋がるという好循環に結び付けていく大学としての取り組みが、いま求められています。
全国大学生満足度調査®
(Students’ Satisfaction Survey®)の
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•Vol.1:大学全入時代、大学存続のカギを握るのは満足度調査
•Vol.2:満足度向上には「居場所」の存在がカギを握る!?
•Vol.3:在学生満足度の“基準”とは?
•Vol.4:自学の調査結果だけで満足していませんか?
•Vol.5:「大学規模」と「満足度」はどんな関係?
•Vol.6:「学部系統別」にみる満足度の意味
•Vol.7:ここまで違う!?「居場所」の重要性
•Vol.8:期待度は満足度にどれだけ影響する?
•Vol.9:「推奨」を把握する意味とは?
•Vol.10:コロナ禍が学生の満足度に与えた影響
•【総括編】満足度調査を通じて、「選ばれる大学」へ