低迷理由不明な中堅商品のリニューアル/大手総合食品メーカー
クライアント | 大手総合食品メーカー |
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目的 | 一定の売上を保有する発売10年を迎える中堅商品の見直し |
課題 | かつてはテレビCMなど企業として注力していた商品の売上が年々低迷 |
業務サポート領域 | 商品リニューアル |
一定の売上を保有する発売10年を迎える中堅商品の根本的な課題は
提供価値のミスリード
昨今有名商品の販売終了のニュースをよく見かけますが、日本市場は成熟化し、一定の売上規模を保有していたとしても将来性がなければ、販売継続が難しいのが現状です。本事例も同様であり、かつてはテレビCMなど企業として注力していた商品の売上が年々低迷していました。また「明確な理由が分からない」という状態もありがちであり、このような場合は早急な原因究明と改善が必要となります。
商品のコア価値と信じて疑わなかった特徴に生活者は無関心
商品課題を検証したところ、長年商品のコア価値としてきた特徴は生活者にとって理解・実感しにくいものであり、到底コア価値とは言えない状態であることが分かりました。もちろん10年間、検証せずに放置していたわけではなく、要所で検証を行い、適宜リニューアルをしてきた商品です。一方で熱狂的はファンに買い続けている理由を聴取すると、これまた全く想定外の意見が多く聞かれました。
クライアントは衝撃的な様子でしたが、生活者の「なぜその商品を買うのか?」の明確化に長年課題があったことが明白でした。
課題を明確化する技術と客観性が必須
なぜそのようなことが起きるのか、理由は2つあります。
まず1つ目は、生活者が感じているリアルを引き出す技術は非常に難易度が高いスキルであることです。特に何の前提もなく、「なぜ?」と聞くと当たりさわりのない発言のみが残り、いかようにも解釈できてしまうため、大きなエラーのシグナルとして拾うことができてなかったのです。
2つめは客観性の欠如であり、当初のコア価値は不動の要件として設定されていたため、評価されていないことが念頭になかったことも要因に挙げられます。
マインドシェアのプロジェクトにおいて、まず本来あるべきコア価値の設定からスタートしました。まず初めに長年買い続けているロイヤルユーザーから独自ノウハウを活用し、理由を深く聴取、明確化・コア価値仮説を立案します。
その後、トライアル後離脱したユーザー、認知未購入ユーザーに対し、コア価値仮説を用いて自己紹介した当該商品は、どのように印象が変わったか・今後買いたいという気持ちに変化したかについて聴取の上、ブラッシュアップを図ります。コア価値を設定後、大型プロモーションの計画がなかったため、パッケージ上で最大限のコミュニケーションを行う必要があり、パッケージで訴求すべき要素・表現方法・キャッチコピー・写真イメージまでの示唆を提示し、パッケージデザインの監修にまで携わりました。
その結果、リニューアルでコミュニケーションは一新され、非常に高い評価を得て配架は拡大し、シリーズ合計1.4倍の売上を1年で達成しました。
本プロジェクトではプロダクトの一切を変更しておらず、コア価値の設定とコミュニケーションの研ぎ澄ましだけで生活者が求める商品へと変貌することができました。
本来変更する必要がない点、今回でいうプロダクトの変更も、課題を明確化しなければ、安易に変更しがちなポイントであり、それによりロイヤルユーザーですら離脱するリスクが高まります。リニューアルは変更すべきポイントだけを変更すべき程度を明確化の上、実行が必須ですが、その探求は難易度が非常に高く、マインドシェアは30年以上、多くの企業のサポートを受託しています。