「少量=割高」から「少量=高級」へ。コミュニケーション変更でリニューアルに成功/大手総合食品メーカー
クライアント | 大手総合食品メーカー |
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目的 | プロダクトの変更なしにリニューアル |
課題 | ユーザー評価では少量且つ割高な商品であり購入前の期待と購入後の評価に大きな差がある「思っていたのと違う」といういわゆるコミュニケーションギャップが非常に大きいことが課題の商品となっていました。 |
業務サポート領域 | 商品リニューアル |
プロダクトアウト商品を生活者インサイト・ニーズに合わせてコミュニケーションアレンジすることでプロダクト変更せず、180度真逆のイメージ獲得に成功しました。
新しい技術により生まれた新感覚の商品、しかし完全なプロダクトアウト商品であり、ユーザー評価では少量且つ割高な商品であり購入前の期待と購入後の評価に大きな差がある「思っていたのと違う」といういわゆるコミュニケーションギャップが非常に大きいことが課題の商品となっていました。
肝いりの技術であったため、プロダクトの変更なしにリニューアルすることを条件に現状の課題抽出とリニューアルプランをサポートしました。
リピートされない理由No.1「期待したほどではなかった」
一度購入してくれたにもかかわらず、その後リピートに繋がらない理由のNo.1は「期待したほどではなかった」です。
生活者は商品を購入する前に味や大きさ食感、食べ応え、食感などをパッケージやその他コミュニケーション媒体から想像し、その想像が自分の購買基準を満たしていてようやく「買う」という行動を取ります。
その想像自体が期待であり、この期待を満たさない場合、期待はずれの商品の烙印を押され以降購入してもらえる確率が大幅に下がります。全く同じ商品であっても購入した人が事前にどんな「期待」をもって購入したか否かでその後の評価が大幅に変わってしまいます。
この「期待」コントロールが非常に重要であり、購入後、「期待以上」の評価がもらえるようコミュニケーション全体を調整することが必要です。
本件も漏れなく事前の期待を異常に高めすぎたことによる「期待したほどではなかった」という理由でリピートしてもらえないことがわかりました。特にコア価値であった「食感」の表現がクライアントの意図と生活者の受け取り方が180度違っており、少量の高級感を謳いたいところ、少量の割高商品という評価をされていてしまったのです。
生活者が誤解しないコミュニケーションの再設定
前述の通り、プロダクト変更はしないことが前提であったため、コミュニケーションのみで購入者の満足を獲得する必要がありました。
マーケティングリサーチの結果、「期待したほどではない」「ものたりない」という評価は特に楽しめる時間の長さに起因することが判明し、当時のコミュニケーションでは「少ないけど長く味わえるもの」という誤解が発生していました。
実際のプロダクトは、そもそも味わう時間に価値をおいてはおらず、新しい食感にありました。しかし生活者が体験したことのない食感をパッケージなどの周辺コミュニケーションのみで表現・伝達することは極めて難易度が高く、生活者に伝わらないことがしっかりと検証できたため、生活者が求めている「味わい時間」へコア価値・表現へと変更し、その中での優位性を訴求するコミュニケーション戦略へと大幅変更しました。
一見、コア価値の変更=伝えたいことが伝えられない商品にも見えますが、生活者が理解・評価するコア価値へと技術サイドのコア価値を「翻訳」しているため、クライアントが表現したかったコア価値の範囲内で、「伝わる」コミュニケーションチェンジへと変更しました。その結果、リピート率が大幅に改善し、本来技術が提供したかった当該ジャンルにおける新しい食感は高い評価を獲得しました。